放送局型123号受信機


解説

 日本放送協会が、統一仕様でメーカに放送局型を作らせた。当然、戦時下の銅などの戦略物資を節約するとともに、トランスレスの受信機の大量生産を目論んだ。本機を修復して動作させると大変優秀な受信機であることがよく分かる。今でも十分実用に耐えそうだ。現代の車にたとえるとトヨタのカローラといったところである。
なお、参考のためある雑誌の引用を示す。
満足に動作しているときの性能は、正統的な設計であるため必ずしも悪いものではないが、一度故障すると手に負えないものである。すなわち、戦中・後の資材、人材の逼迫した時代の所産であるため、各真空管はヒーター断線、ヒーター〜カソードのタッチ、雑音発生、24K−K2の1/2ホケ、カソードの断線を繰り返し、その上電解コンデンサーの品質もいかがわしいものが多かったた、平滑コンデンサーの容量抜け、横リーク、極性反転、加えて、シャーシに触れれば電撃を受け、1球抜けば全球滅といった修理の不便さのため徹底的に不評であった。


諸元


回路図


放送局型123号受信機(後期)修復日記

来歴
インターネットオークションで落札した1品である。

製造記録
松下無線株式会社製 昭和17年11月製造 昭和18年2月7日試験済証添付

回路構成
高周波増幅部  検波・再生部  低周波増幅部   電源部(整流管   安定抵抗管)
 12Y-V1      12Y-R1       12Z-P1        24Z-K2         B37

保存状態
全てオリジナル部品で欠品なし。裏蓋あり。保存状態→優良。感度良好

故障修理
マグネチックスピーカのコイル断線 → 小型のダイナミックSPを隠して配置+出力トランス(新品追加)
整流部の平滑コンデンサー8μF×2箇がパンク→上部紙製のペーパコンデンサーの中身を取り出し、内部に新品の電解コンデンサーを挿入(見た目ではオリジナル部品と同等)。残りのコンデンサー類は、オリジナルのままであえて交換せず。


正面

裏蓋の銘板拡大写真

正面

上部

側面上部

側面

背面

裏面
修理しても、修理跡がわからない程度にしておきたいものだ。

筐体内部の配置図写真

試験済証の写真


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