1式空3号隊内無線電話機


解説

 VHF帯を使用する隊内連絡用無線機であって、周波数30〜50Mc、出力5W A2,A3,送受信共水晶制御である。関西系のラジオメーカの雄である松下電器が軍に全面協力として最大限の技術力を結集して開発したものである。軍用無線機の開発メーカは神戸の川西機械を例外として、関東圏の製造メーカが主に製造している。戦局の逼迫に伴い、民生機器メーカも動員されていったものと思われる。松下につづき、早川電機なども指定軍需会社として無線機製造に組み入られていくこととなる。
 また、真空管も最新の金属管をベースとして開発されている。


諸元

用途 隊内連絡用
通信距離 短距離 
周波数 30〜50Mc 
送信機 出力    A2 A3  5W
       OSC    PA
真空管   6V6    6V6
              MOD
              6V6 

電源   12V蓄電池及びコンバーター
      200V 100mA,7V 2A
      
  
受信機 方式 スーパー RF1 MIX,OSC IF1   DET  AF
          6K7  6J7    6K7  6J7  6V6
電源 送信機用を使用
空中線 固定L型
整備数
備考

1式空3号隊内無線電話機と改の2機種
正面

1式空3号隊内無線電話機改
正面

1式空3号隊内無線電話機
正面

回路図
1式空3号隊内無線機改


1式空3号號隊内無線電話機機修復日記

来歴
96式空2號無線機の入手と同様品。

正面
空中線電流計が欠落している。

上部


今後の修復計画
当面、現状のまま保存とする。真空管は金属管であることから収集は簡単である。

修復作業記録 その1 (2018年09月23日) 再塗装


1式空3号隊内無線電話機改修復日記

来歴
東京都小岩の「ばざーら」からの購入品。

正面
受信部を改造したようで水晶ホルダーや受信同調用ダイヤルが欠落している。

全体構成上部

全体構成斜め

銘板
昭和20年2月の製造であるが、そんなに粗悪な作りではなく、むしろ程度のよい部品を使用して製造されているのは驚きである。松下電器としては、製造部品のストックがかなりあったのだろうか。

上部
受信部の部品が完全に欠落している。

上部

背面

裏面

操作説明書

側面
保守点検内容が記録されている。


今後の修復計画
真空管FM0205Aが入手が困難な状況ではあるが、当面真空管の収集から開始する。

修復作業記録 その1 (2018年10月27日) 再塗装作業
修復作業記録 その2 (2018年11月04日) 組立作業


参考文献
日本無線史 第十巻 電波監理委員会
本邦軍用無線技術の概観 大西 成美

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