八重洲FR,FL-50B修復について(平成22年8月29日着手)


昭和44年9月にFR-50B,FL-50Bは、初級用のSSB運用が可能なアマチュア無線機器として発売された。当時高校生であった小生らにはこれでも高値の花であったし、まだSSBよりもまだまだAM運用のほうの主流の時代背景でもあった。
下記のとおりyahooオークションで平成22年6月13日に2万5百円で愛知県の骨董業者の方(?)から落札したが、今回は真空管式アマチュア無線機として実運用を目指し再整備することとしたい。
なお、40年前の真空管式SSB無線機であっても、現代においても十分実用通信ができることを証明したい。

ということで、修復のための回路図については、HF SSBトランシーバ回路図集がまず必要である。基本的には回路図があればまず修復作業にとりかかることができる。

HF SSBトランシーバ回路図集

2005年9月1日発行
HAM Journal編集部 / 編
高木 誠利 / 解説

日本の3大アマチュア無線メーカーのHF SSBトランシーバを中心に、送信機/受信機のセパレート型、リニア・アンプなどの主要機種の回路図を一挙に掲載しています。
3大アマチュア無線メーカーの機種や回路の変遷がわかる、機種別の解説も加えて、日本のHF SSBトランシーバの歴史もわかる、保存版の一冊です。

このほか、付属の説明書やメーカのサービスマニュアルなどの設計情報があれば完成度の高い修復が可能となる。入手のためにさらにオークション等が必要となるが、webサイトを検索すると有益な情報を見つけることができる。

RadioAmateur.euなるヨーロッパのwebサイトに各国・各種メーカのマニュアルのダウンロードサービスがある。
http://www.radioamateur.eu/schemari.html

日本のwebサイトではこのようなサービスは残念ながら見当たらない。著作権の問題もあるとは思うが、本家の日本メーカのwebサイトを見ると、ケンウッドは旧製品のマニュアルダウンロードサービスはあるが、真空管機器等の初期製品の資料提供はない。メーカ自体が衰退している業界では、アマチュア無線家が頑張るしかないのだろう。
RadioAmateur.euのwebサイトをみるにつけ、日本家電業界も昭和40年代ともなると、米国を中心にテレビジョンセットの輸出を本格化するとともに、アマチュア無線機メーカも世界のコリンズなど米国メーカを相手に果敢に挑戦していったのであろう。かなしいかな相手先ブランドとしての輸出も相当あったのであろうが、とうとう最後には、日本メーカのアマチュア無線機が世界を席巻してしまった。そういう意味では、世界の文化に貢献した分野の一つとして誇ってもいいのではないか。
なお、現在家電業界自体がアジアの新興国が中心となり生産をしており、日本国内の家電産業の瓦解が徐々に始まっている現状を痛切に憂うが、最終的には米国と同じ道を歩むのだろうか。


入手状況
商品の問題点などが明記されており、取引は大変スムーズに完了した。
受信機のフロントには穴があけられていること、送信機の上部シャーシ面はかなりの錆が発生しており、また、何かプリント基板で付加的な装置が加わっていることなどが、写真からわかる。


下記のとおりyahooオークションで落札しました。

251 YAESU FL-50B / FR-50B セット

現在の価格
: 20,500 円

残り時間 : 終了 (詳細な残り時間)
入札件数 : 14 (入札履歴)

詳細情報

個数
: 1
開始時の価格 : 2,000 円
落札者 : mxxxxxxxx / 評価:135 (評価の詳細)

開始日時 : 6月 6日 17時 10分
終了日時 : 6月 13日 21時 8分
カレンダーに追加
早期終了 : なし
自動延長 : あり
オークションID : g86640736
商品の状態 : 中古
返品の可否 : 返品可 (正当な理由ある場合のみ発送後(到着後ではない)1週間以内は可)
1275811802 1276430926
出品者の情報
出品者 : ZAN535X (自己紹介)
評価 : 1013 (評価の詳細)

商品発送元地域 : 愛知県
商品説明
●出品説明(出品タイトル先頭数字三桁は管理番号です)
251 YAESU FL-50B / FR-50B セット 通電動作確認はしていません。FR-50Bのフロントパネルに写真のような穴を開けて赤いテープで塞いでありますが、おおきな改造は行ってないようです。(内部写真参照)もうひとつの矢印にちょっと気になる傷があります。写真では判りにくいですが、ケース、その他の部分にサビがあります。個人個人の好みですが、塗装するほどではないと思います。その他の状態は未確認。専門的知識がないので私の気がつかない部分で不具合があるかもしれません。この説明以外の動作、機能、状態等はわかりませんので画像をよく見て慎重にご入札ください。出品物は写真にあるものだけです。質問はわかる範囲でお答えします。


FR-50B(受信機)の修復作業について(平成22年8月29日)

入手状況
外観から部品や真空管の欠損はみあたらない。ただし、小型の電源トランスが付加されている。
受信機を簡単に確認試験したところ、第一局部発振部及び第二局部発振部が発振していなかった。
いずれも、トランジスター部分が起因しているようだ。


システムの特徴
周波数構成については、標準的なコリンズ構成からみるとかなり変則的な構成と言わざるを得ない。というのも、第一局部発振に水晶発振を使用せず、コイルによる可変同調機構とし、第二局部発振部に水晶発振を採用している。将にコリンズと逆構成である。
この構成の欠点をあげればきりはないが、各バンド帯で周波数更正が必要となり、正確な周波数の把握が困難である。ただし、アバウトな運用であれば問題はない。また、第一局部発振に大量の水晶振動子を使用することによる費用増大よりも、L&Cによる安価な同調機構の採用も一理あるよう思われる。
受信部では、受信周波数に各バンド帯のVFOを減算し、かつ、第二局部発振に水晶発振5,628.9KHzを更に減算することにより、455KHzの中間周波では全バンドUSBを生成している。
ミュート機構に関しては、マイナス電圧によるグリッド印加によるカットオフにする構成がよく採用されているが、当受信機では、B電圧を高周波増幅及び中間周波増幅段のカソードに印加することによりカットオフを実現している。低価格機ならではの回路技術と思われる。
本受信機では、全バンドに対して456.5 kHzの中間周波数まで減算するため、SSBの復調については、BFOのアッパーのみで可能である。

受信機仕様

ブロックダイヤグラム

局部発振部の回路図


運用上の注意事項
第一局発振部に採用されているトランジスター2SC372,373については、現在でも入手可能であり、修復に支障きたすことはない。
回路図上では、原発振に2SC373、バッファ増幅に2SC372を採用しているが、実際の回路に実装しているトランジスターは両方とも、2SC372であった。
小生はトランジスーには詳しくはないが、どうも、特性が同じなのかどうか不明だが、生産現場で勝手に変更したのかもしれない。
昭和40年代のおおらかな生産現場の一こまのように思われる。なお、海外向けのマニュアルのブロックダイヤグラムには、両方とも2SC372の記述がある。
現在の会社組織ではあれば、このような回路図との記述矛盾した状態でマニュアル化すること自体は理解しがたいのですが・・・

受信機単独で利用する場合には。裏側の4つの端子の接続は、8Ω:にスピーカ端子、G: スピーカ端子のも一方の端子とMute:この端子とG端子を接続すること。


受信機の修復(平成22年8月29日)

1,全体写真

ふ2.内部の写真

3.出展の特長
みごとに穴があいています。

4.第一局部発振部が不良
本体からはずして各部品が正常かの確認を実施。

5.第一局部発信部の裏面
オリジナル回路にいろいろなコンデンサーを付属させている。理由は不明。すべて正規部品以外は取り外した。
特に部品に問題がなかったので、再度組み込むと正常に発振することができた。元の所有者の意図が不明だ。

6.第二局部発振部も不良
IFTのケースに収容されており、内部を分解したところ。

7.不良のトランジスターの交換実施

8.上部

9.下部

10.受信周波数が全バンドで+500KHzずれが発生
各種コイルのダストコアーを触っていないこと(昭和50年頃ではまともな測定器も一般のアマチュアは所有しておらず、高周波コイルやIFTコイルをむやみに触ることは、ある意味タブーであった)や全バンドずれ同じ周波数であることから、共通部に問題があると推測し、VFO部のカバーをはずして確認すると2連VCが接続されていないことが判明した。

11.2連VCを接続実施
局部発振周波数も適正値となった。どうも元の所有者は、受信機の選択度をあげるため、VCを単連に改造したようだが、このため局部発振周波数が+500KHzずれたことに気づかず、受信機はハムバンドから大きくはずれることとなった。今では周波数カウンターで測定すればすぐ判明するが、当時のように測定器がないと何が起こったのか原因をつかめない。このため、局部発振回路にいろいろなコンデンサーを追加し、挙句の果てに発振が停止してしまった。こちらとしては、せめての救いは、コイルのダストコアーをむやみにいじらなかったことである。


今後の予定
元の所有者がなぜVCの一部をはずしたのか意図がわからないが、当時はCQ誌などで改造記事が多く掲載されており、VFOの電圧安定化のための改造等が当受信機でも実施されている。
特に支障がないのでこのままとしている。
受信機については、各部の詳細な点検を実施するとともに、送信機の修理を開始したい。


FL-50B(送信機)の修復作業について(平成22年9月5日着手)

入手状況
上部シャーシの錆については、錆落とし剤などにより、ほとんどの錆を除去することは可能であるが、元のシャーシのようにきれいにするまでにはいかない。フロントの螺子などにも鉄製のため錆が発生しており、この時代の製造物も「安かろう悪かろう」からの精神構造から脱却ができていない時期の生産物としての無線機なのだろうか。
確かに、オークションに出展されているこの時期の無線機の写真をみると、シャーシ本体に錆が発生している無線機が散見される。もちろん環境面などの保管条件もあるが、残念ながら、品質面での配慮が乏しいことに起因した製品ということだろう。
なお、これ以降(昭和50年頃)急速に高品質・低価格な製品開発・提供へと日本の産業界が変革していったのだろう。


システムの特徴
水晶発振により5,172.4KHzの搬送波に音声変調し、中心周波数5,173.9KHzのクリスタルフィルターを通すことにより、5,172.4KHzのUSB波を生成する。3.5や7.0MHzには受信機からのVFOを減算することにより、LSB波を作成する。なお、14.0MHz帯以上は、受信機からのVFOを加算することにより、USB波を作成する。

送信機仕様

電鍵及びマイク結線図

送信機及び受信機の制御について


運用上の注意事項
サービスマニュアルに送信機と受信機との送受信の制御のためのコネクターの結線図があるが、G:グランドが8番ピン、ミュート:10番ピンとあるが、実機のコネクターを見るとG:グランドが9番ピン、ミュート:10番ピンとなっていた。半田跡をみても8番ピンを使用した形跡がない。いったいどうしたことなのか。なお、G:グランドのケーブルは赤色であり、本当にグランドに接続していいのか面喰ってしまう。
なお、回路図と比較してみるとマニュアルのとおり、G:グランドが8番ピン、ミュート:10番ピン接続が正解である。
また、マニュアルには記載されていないが、1番ピンと2番ピンを結線していないと終段の6JS6Aのヒータに電源が供給されないので要注意のこと。


修復作業について(平成22年9月5日着手)
送信機の前部真ん中に改造部分が追加されているが、VOX機構を追加しているようだ。全体のシステムへの影響が少ないので、当面はこのままとしておこう。

受信機の局部発振部分については全てトランジスター化されているが、送信機側では、トランジスターは1石も使用していない。受信機の設計者は先進志向の持ち主だったのだろうが、送信機の設計者は石頭の設計者だったのかもしれない。残念ながら、技術革新が設計者を淘汰するのは歴史の必然かもしれない。しかしながら、現在に至っても、真空管を楽しんでいる我々には淘汰とは無縁の青春があるのだろう。

送信機の内部を見る限り、大きな損傷もなく、うまくしたらそのまま動作可能のような保存状態も良好である。送信機には、あまり改造点はなく、今回のようにあってもVOX程度の改造ぐらいだ。
ちなみに、B電源部分の回路をテスターでチェックする限り何も問題はない。すぐに通電可能だ。
アンテナとマイクを用意する必要があるが、現状では、家には短縮型の3.5MhzのV型アンテナがあるが、長期間放置している。また、マイクはトリオのハイインピーダンス型のMC-50があるがピン配置が異なっているので改造工事が必要である。(平成22年9月5日)

昔の無線機のいいところは、SSBとはいっても、A3相手通信も必要なため、キャリアを注入することができる。この機能を利用して終段のπマッチの調整を簡単に実施することができる。とはいっても、情けない話だが、現代無線機の送信部の調整などあるのかないのか皆目見当がつかない。

試しに恐る恐る電源を起動し、全ての真空管のヒータの点灯を確認したが、終段の6JS6Aの陽極電流は景気よく流れるが一向にディップ点がみつからない。どうも、共振していないようだ。
オークションで落札し、錆落とししただけで、動作するほど世の中甘くないなと思いつつ、ふと前面パネルの操作ボタンをみると、VFO外部接続がオフとなっていることに気がついた。最初に触った時に、無意識に自分でスイッチをオフにしてしまった。この初級用の送信機は外部VFOか水晶振動子でしか動作しないことを忘れていたのが原因だった。
再度、挑戦するとダミー用電球(100V20W)がほのかに点灯した。キャリアを全注入したら、昔作ったA3送信機のように煌々と電球が灯った。感激だ!
送信機の中身については、40年前のものでも、部品交換も不要であり、品質もそこそこのようだ。問題は鉄製の螺子とかシャーシのメッキなどの加工技術が粗悪であったと断定せざるを得ない。(平成22年9月12日)

シャーシの錆を除去

コネクター修理前

ダミー電球(送信前)

ダミー電球(送信中)

SWR計にて測定中(キャリヤー挿入)

背面の接線について

運用イメージ


今後の予定
運用については、今のところ未定


参考文献
SOMMERKAMP ELECTRONICS GMBH GERMANY

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