手製本講座


手製本考

手製本の基本的な考え方
まず、手製本においては、市販本以上のレベルのものを目標とする。
これを実現するため、本来は高級な製本道具例えばエトー、シザイユ(断裁機)、かがり台、2トンプレスや手締めプレス等が必要である。
従来の製本教室は、伝統あるヨーロッパのルリユールがベースであるため糸かがりを基本としているが、この糸かがりの工程の技術取得に時間がかかり、製本技術がなかなか一般者へ普及しないことの大きな原因であると思われる。
現代製本では、あじろ綴り製本が主流となっており、機械式の糸かがり製本は極わずかにすぎない状況である。
このため、製本教室の教材は、糸かがりの古い本をばらしたもののとなり、このばらしたものを土台とし、糸かがり製本をする工程を製本講座として教育しているのが現状である。
しかしながら、この製本技術では、単に古書の修復のためには役立つが、自家出版を手製本で実現したい人々には役に立たない。そういう意味では、現代手製本の世界においては、糸かがりからの決別が必要となろう。
この決別により(単なる割り切りにより?)、製本道具も専用の道具が必要となくなり、ホームセンターでごく一般的な日用品を道具の代用品として購入すればいいこととなる。
また、現在はパーソナルユースとして、パソコンやプリンターが十分に利用できる環境にあることから、従来の大規模な出版社による製本手法ではなく、個人が自由に製本することが可能となった。
本文については、Wordなどのソフトウェアで直接記述してもよいし、ディジタルカメラのデータを貼り付けたり、Webから検索したものをダウンロードしWordなどに再編集したり、復刻版の本を作りたかったら、原本からスキャナーでイメージ・データを取り込みWordなどに再編集すればいいし、また、PDF化だけでもいいかもしれない。
本文・表紙とも印刷は少しハードルが高くなるが、カラーレーザプリンターなどで印刷すればいい。
あとは、いかに手製本として本に組み立てるかという技術的問題だけである。
ただし、いわゆるルリユールと呼ばれる伝統的な製本技法を尊重した上で、必要な技法のみ活用して新たな現代版の手製本技法を確立することが重要である。



印刷の考察

用紙サイズ
A5版を基本とする。これは本文をA4版のプリンタードライバーの機能として両面/縮小印刷(製本印刷)が可能(A4を1枚で両面で4ページ印刷)であれば、生産性/コストを最小限とすることが可能である。
また、A5版であれば、表紙の印刷はA3版で印刷可能であり、個人ユースとしての限界点が上記規格と思われる。なお、業務用で安価なインクジェットプリンターが最近EPSONから販売されたが、プリンタードライバーには製本印刷機能がなく、写真印刷の域をでていない製品のため購入を断念した。(あくまで私観です)

紙質
共用紙(インクジェット・レーザとも印刷可)/上質紙 A4版 横目

紙の購入先
株式会社美津山で紙の目を指定して購入することができます。安くて、早くて、あらゆるニーズに即応してくれます。
http://www.bidders.co.jp/user/9683703


紙厚
55K  0.08mm(コピー用紙程度の厚さ)
70K  約0.09mm
90K  約0.12mm
110K  約0.15mm(コピー用紙2枚分程度の厚さ)
本文のページサイズ等で適時の紙厚を選定すること。ただし、プリンターの機種により印字品質が異なり、たとえば110Kの紙厚のものをリコーのプリンターで印刷するとにじみが発生する。これは紙厚と印刷ドラムの関係と思われるが、エプソンでは紙厚を調整する機構が用意されているようだ。できたら、90K以下の使用が望ましいと思われる。

注意事項
紙の目は、製本時の背の糊付けのため背に沿った目とすること。(必須事項)目が合わないと糊付けで本が変形したり、開きが悪い本となるので注意が必要である。

印刷の単位
パソコンをWindowsXpの512Kbのメモリ標準構成で、Word使用するとしたら復刻版用の1ページのイメージ・データのJPEGが400Kbから500Kbの想定で約250ページ程度とすると約100Mb程度にまとめることとなる。これ以上大きくすると処理が重たくなる。


丸背製本の作業工程

1.本文の印刷
紙厚70Kの上質紙・横目を購入した。全677ページの大作である。印刷が完了したら、全体の工数の50%は完了となる。

2.表紙の作成
A3版の美術用紙を画材店にて購入した。

3.本文の折丁作成
ひたすら、へらを使用しておりすずけること。丁寧に両すみ一致させておることが重要である。

4.折丁のプレス
1日以上プレスする。

5.同上

6.同上
横からイメージ

7.紙バンド(ウース)がけ
本文を保護する。

8.道具類
プレスには、A5版のベニアボード(東急ハンズにて購入)とホームセンターにて購入したCクランプ(締め付け金具)のみ。

9.丸みだし
右下の紙の筒(サランラップの芯)で丸みを慎重につける。

10.同上

11.耳だし
本来は金槌でたたく工程だが、ここではへらにてまげをつけていく。

12.同上

13.目引き
本来は糸かがりの作業であるが、ここでは麻紐をとおす溝を作る。

14.同上

15.背がため
本来は糸かがりの工程であるが、ここでは麻紐をボンドで接着する。

16.同上
最後に和紙で全体を覆い密着させる。最低1日プレスすること。

17.やすりがけ
ここで、表と裏の捨て紙をはすず。
本来は裁断工程であるが、天をやすり(#240)がけし平らにする。ただのかまぼこ板と紙やすり。

18.見返し貼り
見返しを糊付けする。

19.花布(リーブルや東急ハンズで購入のこと。残念だが広島など地方ではこの材料だけは直接入手できないので通販などで購入してください。)
専用の花ぎれを背の天と地に糊付けする。

20.寒冷紗貼り
ホームセンターで農業用のもので充分利用である。

21.クータを作成

22.表紙の作成
芯紙は2mmの黄ボールを使用すること。このボール紙も簡単には入手できないでしょう。リーブルなどで購入するのが早い。

23.同上

24.同上

25.表紙と本文との接合
完全に乾くまでプレスすること。ちなみに、私は3日以上としている。

26.同上




角背製本の見本

ホームページの製本事例

手始めに、興味あるホームページをダウンロードし、Wordで編集し、自家製本の元ねたとする。当然著作権にかかわるので頒布はできない。あくまで、個人利用のためのに製本する。
作成見本1


作成見本2

作成見本3


見本3

見本5


(参考道具)
表紙の表題に使用する箔押機を購入した。(リーブルにて)

箔押機の説明書



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