地3号無線機


解説

 近距離地上用無線機として整備され、本無線機送信機は6D6の水晶又は自励発振により直接807Aパラの終段を励振していたが、励振電力は概ね充分であった。受信機検波部はオートダイン検波方式である。
終戦後は、警察無線系において、応急無線用として使用された。


諸元

用途 対空用及び地上用
通信距離 100Km
周波数 送信 1,5 〜 6,675Mc
   
受信 1,5 〜 8,9Mc 
送信機 方式   水晶(又は主)発振−二段増幅
出力    A1   40W
       A3    8W
電波形式 A1,A2,A3
電源   0.6HP 単気筒2サイクルガソリンエンジン
      600V0.22A18V4A発電機      
受信機 方式   スーパー RF1 IF1 AF1
真空管   RF CONV  IF  DET  AF
      6D6−6A7−6D6−6D6−6D6
           |           
          OSC
電源   6V蓄電池及び250Vコンバータ又は整流器
空中線 逆L型 H=6m L=20m 又はダブレット
整備数
備考

回路図
受信部

 送信部


地3号受信機修復日誌

来歴
本機は、秋葉原のラジオデパート2階の某店のO氏(今は店を引き払い、インターネットによる商売に切替?AWCの元会員で頼んだ品物は必ず探し出してくれるとても信頼できる人でした)に頼んでいたらどこからか仕入れてきたものである。郵送で写真を事前に送ってくれたあとに電話での商談だったので、少し高額でしたが購入させてもらった。ほぼオリジナルで私としては、改造品が多い収集品の中で大変貴重な一品となっている。

本体筐体
本体筐体は購入時は、青色に塗装されていた。陸軍の茶色に塗装しなおした。形状は地2号受信機と同じで奥行きが狭く、縦長となっている。基地などでの固定局で使用するのではなく、搬送が可能のように半固定的な運用を目的として開発されたようだ。

正面
右下部は電源部である。発動発電機が収容されている。

正面斜め
奥行きの狭さがよくわかる。

正面
地4号受信機とほぽ同構成であるのがよくわかる。

上部
市販の5級スーパーと同じ構成である。

裏面
抵抗器やコンデンサーをシャーシに螺子で固定している。大量生産には不向きな部品配置となっている。

背面

正面
本体筐体(ケース)です。

電源部
発動発電機です。

今後の修復計画
今後、オリジナル性を確保するため、修理せず当面この状態で保存するこことする。


修復作業記録

修復作業報告 その1(2015年8月25日)  電源ケーブル作成と真空管交換、通電等
修復作業報告 その2(2015年9月07日)  真空管交換、再塗装、ダイナモ試験等


地3号送信機修復日記

本機は、横浜市のD氏から購入したものである。本体ケースもなく、かなりの部品が欠落しており、後部の支柱も曲がっていた。
また、正面パネルは金色の塗装がされていた。これは、オリジナルの塗装は銀色なのだが、保存状態が悪かったり、経年劣化により、銀色が金色に近い色に変色するため、オリジナルが金色と勘違いし再塗装する際に金色を塗ったものと思われる。特注の銀色のスプレイで塗装し直した。

正面





正面

背面
部品が欠落しており、ケーブルが切断されている。

裏面
同じく、部品が欠落しており、ケーブルが切断されている。

銘板
昭和18年度の前半までは、資源のストック、熟練工員のおかげで製造レベルは高いことがよくわかる。

今後の修復計画
欠落部品の用意がつき次第、修復に取り掛かることとする。一度A3電波を出してみたいものです。


オークション落札結果記録(地3号無線機関連商品)

オークションウォッチ その6
オークションウォッチ その5
オークションウォッチ その4
オークションウォッチ その3        激レア 昔の無線機 地3號無線機 受信機 東京芝浦電気株式会社
オークションウォッチ その2        激レア むかしの送信機 地三號無線機 東京芝浦電氣株式会社
オークションウォッチ その1        「旧日本軍・ム63受信機、無線機(第42534号)」


参考文献
日本無線史 第九巻 電波監理委員会
本邦軍用無線技術の概観 大西 成美

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