96式3号己無線機
解説
陸軍の中でも、上陸作戦のための海軍とは別に船舶を所有していた。この中で偵察艇に搭載する無線機として開発された。陸軍の無線機の中では特異なものである。開発のポイントは、運送船の起重機から吊落とす衝撃に耐ええることと、偵察艇機関からの雑音抑制の2つであったようだ。
諸元
用途 | 高速艇用 |
通信距離 | A1 100Km A3 20Km |
周波数 | 送信 1,500 〜 5,700Kc (常用2,500 〜 3,000Kc,5,000 〜 5,500Kc) |
送信機 | 出力 A1 20 Osc PA 真空管 UZ89 UX865 UZ79 Mod 電源 12V蓄電器及び500V180mAコンバーター |
受信機 | 方式 スーパー RF1,IF2,AF1 真空管 RF CONV IF IF・Det AF 78 6A7 78 6B7 41 BFO 37 電源 12V蓄電器及び250V70mAコンバーター |
空中線 | 逆L型 H=3m,L=8m |
整備数 | |
備考 |
96式3号己(き)無線機受信機修復日誌
来歴
岡山県倉敷市に「襤褸」現在名称変更し、昭和大戦博物館設立準備基金と称し昭和50年代から、旧軍関係の処分品リストの会報誌を会員へ配布し、各人からの郵送の入札する組織を運営しているが、そこで落札したものである。
まさに、インターネットのオークションの元祖のよう落札モデルであり、ビジネスモデルとして大変敬服しおります。
正面
同調用のダイヤルは特大で作りも大変いいものである。線輪が右上にあり、構造上の弱点となっている。
上部
真空管構成からみると、高周波増幅段と低周波増幅段が接近した設計となっており、シールド板で遮蔽しているがあまりいい機器配置とは思われない。
背面
正面
今後の修復計画
早急に修復に向けて着手する。
参考文献
日本無線史 第九巻 電波監理委員会
本邦軍用無線技術の概観 大西 成美