94式3号甲無線機


解説

 昭和7年(1932年)度から研究に着手した。満州事変に於ける諸作戦に於いては15年式3号無線電信機は機能良好であるが、鈍重であるから駄馬も通じない処へも行かなければならない要求には適さない。依って軽易に人背によって運搬し得、而も通信距離数十粁を確保し、なお更に近距離でも良いから電話を附加し得れば上々との要望があったので、新たに研究着手し、十一号甲無線機として同年十一月頃完成した。昭和8年初頭より数十機を応急整備したが、昭和9年から根本的に設計を改めた。
 本機は94式、96式各号無線機中唯一の送受信機一体構造としているが、受信機単独のものも存在する。機能的には、電信専用の無線機である。


諸元

用途 騎兵用及び師団通信隊用
通信距離 騎兵80Km 師団通信隊用50Km
周波数 送信 400 〜 5,700Kc
   (常用騎兵用2,500 〜 3,000Kc及び5,000 〜 5,500Kc
    師団通信隊用400 〜 990Kc)
受信 350 〜 6,000Kc 
送信機 出力   A1 10W
真空管 UY−510B 
電源   手回発電機 40.5W
      500V   60mA
       7V    1.5A
受信機 方式   スーパー RF1,IF1,AF2
真空管  RF  CONV  IF    Det   AF AF
      134  135  134  109A   133D 
電源   平角3号(1.5V)   B18号×4(90V)
      C129号(−6V)
空中線 逆L  H=7m,L=20m
地線 20m
整備数 650
備考 昭和14年度頃までは騎兵用として乗馬中も受信待受けするために、1−V−2のオートダイン方式による副受信機をもっていた。使用真空管はRF 11M Det 14M AF 11M AF 11Mという特殊ソケットの小型管(11Mはスペースチャージグリッド管)であった。
師団通信隊用として使用するときは、受信部と同一のもの(師団通信隊用副受信機と称す)を更に1組持っている。

正面


回路図


94式3号甲無線機受信機修復日記

来歴
本機は、岡山県倉敷市の襤褸(現在は昭和大戦博物館設立準備基金)というところから入札により落札した1品である。

正面
本体ケースがないため、経年の埃や錆びのため保存状態が極めて悪い。正面パネルもアルミ材の錆びなのか塗装状態も剥落状態となっている。ここまでの場合、保存のためにも再塗装したほうがいいと思う。反面、オリジナル保存のためには、この状態で修復を中止する手もあるかもしれない。少し時間をかけて判断するこことする。

上部
真空管UF−134が一本欠落している。

裏面
戦後、電解コンデンサーで修理したようだ。

修復作業記録


修復作業記録 その1 (2016年09月21日)
    準備作業
修復作業記録 その2 (2016年09月28日)     確認試験
修復作業記録 その3 (2016年10月04日)     ケース作成準備
修復作業記録 その4 (2016年10月16日)     ケース作成
修復作業記録 その5 (2016年10月31日)     前面パネル再塗装
修復作業記録 その6 (2016年11月21日)      トランス変更
修復作業記録 その7 (2016年11月28日)      真空管実装した本試験
修復作業記録 その8 (2016年12月05日)      中間周波数の測定
修復作業記録 その9 (2016年12月26日)       中間周波トランスの分解調査


オークション落札結果記録(94式3号甲無線機関連商品)


オークションウォッチ その12
オークションウォッチ その11
オークションウォッチ その10
オークションウォッチ その         94式3號甲無線機
オークションウォッチ その         九四式三号甲無線機/三六号D型通信機
オークションウォッチ その        激レア 昔の受信機 の部品??
オークションウォッチ その        激レア 九四式三號甲號無線機 四号箱 川西機械製作所
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オークションウォッチ その        激レア 軍事秘密 師通信隊用副受信機 四四号型受信機 日本通信
オークションウォッチ その3    激レア 昔の無線機 軍事機密 通信隊用 四四号型受信機
オークションウォッチ その2    激レア 昔の通信機 軍事秘密 九四式三號甲無線機 三六號型通信機
オークションウォッチ その1
       旧日本軍 94式3号甲無線機 希少品!!


参考文献
日本無線史 第九巻 電波監理委員会
本邦軍用無線技術の概観 大西 成美

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