99式飛1号無線機修復


修復前

2週間ほど前に米軍の無線機2台と交換で手に入れたものです。
今までに小生が見て気がついたところを以下に記しておきます。

1. 内部の改造はまったく行われていないようです。
2. ケースはオリジナルの塗装のようですがきれいです。
3. つまみは1個ついていますがオリジナルのものではありません。
4. BFOのつまみはシャフト(ベーク)が折れてなくなっています。
5. 照明用のランプホルダーはありません。
6. 真空管6F7 6本はすべてついていますが動作状況は不明です。
7. コイルは1本ついています。
8. 入力トランスの1次側が断線しています。
9. 発振トランスの2次側が断線しています。
10. 抵抗が2本後から追加していますが断線した抵抗の替わりにつけたものと思われます。
元の抵抗をネジを外して取り替えればかんたんに元に戻ると思います。
11. 小生がつまみを作ろうと思い型を取り途中まで製作中です。
写真の上にツマミが2個写っているのがそうです。
12. 本日頼んでおいた山水の小さな入力トランス2個が到着しました。
断線したトランスの中身を出して入れ替えようとしているものです。
トランスの写真を添付しました。

以上が気がついた点です。
飛1号無線機受信機の写真を掲載します。


1.上部

2.上部正面

3.上部斜め正面

4.取っ手の部品

5.予備の線輪

6.正面

7.裏面

8.側面

9.側面

10.上部

11.交換用トランス


修復後


飛1号受信機の修復が完了いたしました。
トランスの断線は中身の入れ替えではなく巻直し致しました。
開封し、鉄心を抜きコアを伊勢にある西崎電機さんに送ると巻直しをやってくれます。

それからBFOも断線していましたので開封修理でした。
それから回路の配線の線どうしのショートもあり、束ねているタコ糸をほどきエンパイヤチューブの入れ替えでした。 抵抗もオリジナルのようにネジをはずしつけかえました。

6F7 複合管 6本の回路が入り組んでいるため、別に終段のIF回路以降出力段までの試験回路を作成しました。その試験回路で真空管、トランスの動作状況を調べながら修復部品を本体に元のように戻していきました。

写真にあるようにオリジナルの状態になりました。
動作状況は感度もかなり良好で6F7の3極管部のPPですがスピーカーもガンガンなるようです。

写真を参考に掲載いたします。


1.入力トランスの分解

2.上部

3.正面

4.側面

5.上部

6.裏面

7.上部

8.BFOコイル分解

9.斜め正面

10.正面

11.正面
 運用中のためダイヤルランプが橙色に点灯している。



追記

小生もここのところム65 2台、飛1と立て続けに旧軍の機械をいじくりました。
しかし、修理状況の様子を記録に残しておくという考えがなかったために肝心なところ、たとえばパネルの穴埋め、シャーシーの穴埋め、トランスの修理、IFTの修理改造、ム65の抵抗、コンデンサーを取り付けるアルミ板加工等々の写真をとっておりません。今思うと写真をとっておけばよかったと後悔しているのですが。
今後94-5号、94-6号、92特、操練用無線機、等々修復の待機中のものがありますので写真を撮っていこうと思います。
トランスの修理、IFTの修理、コンデンサーの修理、特に電池管を本体をいじらないで現用管との置き換え改造は参考になると思います。
25年ほど前に1T4を使って133D、135等への置き換えをしました。
ピンはバナナピンでひし形の配置ですので工作も難しかった記憶があります。
その機械(94-3号丙)は現在でも使っています。


 飛1號が遠距離用、飛2號が中距離用、飛3号が近距離用の大まかな区分があり、海軍の航空機用無線機の空何号のように座席数での決まりはないようである。作戦により、近距離になったり、遠距離になったりするとすれば無線機器の設置基準はどのようになっていたのだろうか。

どちらにせよ、単座の航空機無線機としては、最上位機種であることには、間違いない。
受信機でいえば、すべて真空管はUt−6F7で統一されており保守性に主眼をおいた設計がなされている。


参考文献
日本無線史 第九巻 電波監理委員会


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